止めるべきだと思いながら、止めなかったことがあります。
何があったか
相談を受けたのは、ある技術についてでした。
既存の製品に組み込むことで、安全性や安心感を高めるためのもの。
発明した方にとっては、人生の集大成とも言える取り組みでした。
技術の完成度は、私には判断できません。
ただ、考え方の正しさには、疑いはありませんでした。
一方で、話を聞きながら、別のことも感じていました。
「これは、採用されないかもしれない」
当時の前提
- 考え方として、筋は通っている
- 社会的な意義も、はっきりしている
- 伝えるための手段(Webページや提案資料)は、用意できる
見えていたのは、ここまでです。
一方で、採用するかどうかを決めるのは、相手の会社です。
その会社が、これを選ぶ理由を持てるのか。
採用した場合に、誰がどんな責任を背負うのか。
その問いに答えを出さないまま、話は制作へ進んでいきました。
分かれ目:制作に進む前に、言うべきことがあった
本当は、制作に入る前にこう言うべきでした。
この技術は、誰のどんな判断で採用されるのか。それを整理してから進めましょう。
でも、言えませんでした。
人生をかけた取り組み。
社会的な意義。
それを前にして「うまくいかないと思う」と言うことは、相手の可能性を消すことのように思えたんです。
止めるという判断は、否定することではありません。
ただ、その人が信じてきた未来の一部を、こちらの手で閉じることでもあります。
当時私は、その覚悟を持てませんでした。
Webページと、大手メーカーに向けた提案資料は完成しました。内容には満足してもらえました。
当時は、何社かと話ができたと聞いていました。
続き:2026年9月
その後、相談者から、ホームページの文言や画像を直したいという相談がありました。
提案した大手メーカーから、反応がなかったからです。
今回は、制作に入る前に伝えました。
反応がなかった原因が、ページの中身にあるのか。
提案が、担当の部署まで届いていなかったのか。
そもそも、ページを見てもらえていなかったのか。
今の時点では、どれも分かりません。
それを確かめないまま中身だけを直して、同じ方法で提案すれば、また同じ結果になるかもしれない。
だから先に、提案した先、資料が確認されたかどうか、ページが見られたかどうか、その後のやり取り、先方の反応を、一度整理してほしいとお願いしました。
結果
整理してもらうと、提案のほとんどは、中身を読まれる前の段階で止まっていたことが分かりました。
大きな会社の多くには、社外からの提案をそもそも受け取らない仕組みがあります。
問題は、ページの中身ではなかったわけです。
相談者は、ページや画像の作り直しをやめ、提案する場そのものを変える方向に切り替えました。
今ならどう見るか
1回目に言えなかったのは、「誰が、どんな判断で採用するのか」でした。
2回目に確かめたのは、「どこで止まっているのか」です。
形は違いますが、同じ問いだったと思います。
反応がないとき、人は中身を直したくなります。
でも、届いていなければ、どれだけ直しても結果は変わりません。
ホームページやチラシの反応がないときも、同じです。
直す前に、どこで止まっているのかを確かめる。私は今、そこから始めるようにしています。
集客でも、同じように「やらないこと」から決めています。
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